<涌谷町長選>遠藤氏初当選 安部氏の返り咲き阻む |
遠藤氏は午後9時半すぎ、当選確実の知らせを受け、町役場前の事務所に入った。約50人の支持者を前に「小さな力しかない私が、皆さまの大きな力を借りて当選できた。町民の笑顔が増えるよう4年間頑張りたい」と意欲を述べた。
選挙戦では、1月に町が出した「財政非常事態宣言」を受け、町財政を圧迫する町国保病院の経営改善や町事業の見直しを中心に「人材発掘・育成を通した町づくり」を訴えた。大橋氏の後継者を強調し、後援会長の中村功元県議や町議12人中9人の支援を受けた。
2015年の前回町長選で大橋氏に再選を阻まれた安部氏は、町国保病院の民営化や町長報酬の50%以上カットを公約に掲げたが、届かなかった。
当日の有権者は1万3935人。投票率は61.60%で前回15年の63.59%を下回り、記録が残る1983年以降で最低となった。
◎財政再建へ具体策必要
【解説】現職だった大橋信夫氏の急死という異例の事態を受けて行われた涌谷町長選は、新人の遠藤釈雄氏が元町長の安部周治氏に競り勝った。有権者は、町議12人中9人の支援を受け、大橋氏の後継者を自認する遠藤氏に町の将来を託した。
町の最優先課題は財政再建。選挙戦で遠藤氏は「当たり前のことを当たり前に行う」と言うにとどめた。それは、財政圧迫の要因である町国保病院への対応を巡り、支援町議らの間には、民営化や診療科の縮小、療養部門への特化など多様な意見があるからだ。
町一般会計から病院への繰り出し額は毎年度4億~6億円に上る。自身が訴えた「長期的な視点」だけでなく、改善策の早急な提示も必要だろう。その過程で、太いパイプを築いた町議会とのなれ合いは避けなければならない。
安部氏は「身を切る改革」や町国保病院の民営化といった具体策を打ち出し、大橋、遠藤両氏の支持層も一定程度切り崩した。遠藤氏は批判票として謙虚に受け止め、町一丸となって困難な課題に立ち向かう体制を構築することが求められる。(小牛田支局・山並太郎)
<涌谷町長選開票結果>
(選管最終)
当 4,467 遠藤 釈雄 無新(1)
3,996 安部 周治 無元