竹下・青木王国で蜂起した自民分裂「島根知事選」 |
現職が引退する県知事選(4月7日投開票)。自民党からは登氏の弟、竹下亘前総務会長、青木氏、細田博之元総務会長ら島根オール国会議員が推す大庭誠司・元総務省消防庁次長を擁立。これに対し自民党県議22人の6割にあたる14人が元総務官僚の丸山達也氏を支援し、自民分裂選挙が決定的となっているのだ。
背景をテレビ局政治担当記者が分析する。
「分裂の背景には3要素がある。(1)島根という土地の反骨精神と政争激戦風土、(2)利益誘導がしにくくなった今の中央政治、(3)島根王国を支えてきた長老たちの高齢化です」
(1)は竹下元首相に垣間見る反骨精神だ。
1951年、竹下氏は島根県議選出馬を表明した際、当時の地域のドンから「もう1期待て」と制されたのを振り切り、命がけで出馬し当選を勝ち取った。
「また、竹下氏は田中角栄元首相の最側近でありながら“このままではいつまで経っても田中派から脱却できない。天下を獲れない”として創政会という勉強会を立ち上げた。この時も半ば強引に反旗を翻した。島根は竹下氏に代表されるような反骨人が多い。それが青木氏などにも継承されてきたのです」(ベテラン政治ライター)
(2)は公共投資。島根県は人口約68万人。東京・練馬区や江戸川区より少なく、全国でも鳥取県(約56万人)に次いで下から2番目。産業も農業が主体だ。
そんな島根を支えてきたのは、竹下政権誕生翌年の'88年から23年連続で全国1位となった公共投資だった。しかし、国の財政が厳しくなり公共事業が大幅に削られると、徐々に利益誘導が姿を消し県の財政はピンチに陥ってしまった。
「竹下元首相が亡くなり、さらに青木氏も政界引退すると、公共事業も激減した。未来の島根を託すには、これまでの国会議員トップダウン型知事では立ち行かない。国頼みではなく、地元のことは地元でという切実な思いが、自民系県議らに強くなった。それが丸山氏擁立です」(同)
(3)の高齢化はどうか。
「竹下元首相後、隠然とした力を持っていた青木氏も84歳。竹下派を引き継いだ竹下亘会長が統率すると思いきや突然、ガンで倒れた。細田氏は島根の主流、竹下派ではない。そんな中、県議会の竹下派14人が、新しい島根を作ろうとスクラムを組んで丸山擁立で反旗を翻した。かつての竹下元首相が動いたのを連想させるミニ版反乱です」(同)
自民党内の反乱は島根だけではない。全国各地で起きつつある。安倍一強の土台が崩れ始めた兆候だ。
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